・自律訓練法にはこれまでの無数も言える臨床例から以下の効果が確認されています。
これが一番有名なものです。
佐々木雄二『自律訓練法の実際より』
①蓄積した疲労からの回復がされる
②イライラを失くし穏やかになる
③頭がすっきりし、学習や仕事の能率が上がる
④自己統制力が増し、行動をコントロールできる
⑤内省力がつき自己向上性が増す
⑥知らぬ間に精神的な苦痛が緩和される
⑦自律性解放 内部にたまった抑圧が無意識的に解放されます
この①~⑥を生理的な観点からみるとこうなります
・体への効果
①体が温まる(体内酵素や新陳代謝が活発に)
②血行がよくなる
③血圧が安定する
④疲労回復が進む
⑤副交感神経が活性化して、体の回復が進む
自律訓練法のマスターにより大きなリラクゼーションをもたらすとともに、
精神的な抑圧を解放し、自分を肯定的に捉えることができるようになります。
しかも心理的な努力なしに自然に変わっていくことが確認されています。
毎日の生活の中で自由に自律状態に入ることができれば、いつでも自分というものを回復することが可能となります。
通常考えられないほどのリラックス感と落ち着きをもたらすことで、自分も周囲も良く見えてきます。
この原理は次のように考えられています。
自律訓練法により大脳から脳幹部へストレス情報が向かうのが遮断されます。
現代生活は脳幹部という生命維持装置の集積した部分に絶えず大脳から、ストレスに満ちた情報が流れます。多忙や緊張を強いられる仕事や状況はみな大脳経由で脳幹部を痛めつけているのです。
たとえば脳幹部のひとつ間脳には視床下部という箇所があります。
ここは動物時代、敵と遭遇したり命の危険を感じたときに興奮する仕組みになっていました。
そして、全身の筋肉が最大限稼働するようにと心臓は早く鼓動して血液を送り、内臓への供給は最低限となり、身体は敵と戦うためあるいは危険から逃げるための筋肉を稼働させるための状態に変化します。現代社会では命の危険を感じる状況は通常ありませんが、大脳の発達により「危険」は精神的なものにまで拡大したので、 たとえば批判を受けたり強く叱責を受けたり、 仕事上家庭上の緊張に満ちた状況や不安な状況が、みな大脳が「危険」と感じるようになりました。
その情報が間脳へ危険信号として送られ、間脳は、あたかも命の危険に遭遇したかのように反応するのです。大脳が認めた危険を間脳が判断することはなくそのまま受け入れるというわけです。
したがってストレスが続くと、内臓への保全がおろそかになり、心臓にも無理がかかり筋肉も硬直化します。しかも間脳には自律神経の束があるので二重に全身が危険モードに変化しているわけです。
大脳と脳幹部がいつも緊張関係にあり、大脳からの情報に動物時代の反応をする脳幹部は、その危険モードをさらに大脳に送り返すわけです。
大脳は自ら送った危険信号を今度は脳幹部からの本能的不安としてさらに感じるのです。
したがって負のフィードバックが起こり、心身ともに疲労困憊するわけです。
自律訓練法はこの負の連鎖を断ち切るメソッドです。
現代生活は非常に長い時間脳幹部がストレスを受け続けるのですが、自律訓練法により脳幹部を意図的に効果的に休ませることができるのです。
自律訓練法によりいつでも脳幹部を落ち着かせ
大脳からの膨大なストレス情報から脳幹部を守るかのような作用が起こると言えます。
意識の奥深く、自律神経などの束のある脳幹部リラックス法とも言えます。そしてリラックスして落ち着きを取り戻した脳幹部は大脳に向かって今度は肯定的な信号を発進するようになるので、本人の努力なしにいつのまにか心が元気になっていくのです。
脳幹部リラックスにより意識下にまで及ぶ落ち着き・平和がもたらされ、意識下から強い自己肯定感が発信される作用が起きると言えるでしょう。
完全にマスターすると日常生活の中で必要に応じていつでも自律状態に入れます。マスター後は立ったままでも入れます。
【効果まとめ】
・身体が活動型から休息型へ心身が変化するので大きなリラクゼーション効果があります。
・体がエネルギーを消耗する型から蓄積疲労回復型へと変わる
・高等な精神活動が低下し心身未分化状態へなるのでリラックスする
・批判・分析など総合的客観的に判断する精神活動が弱まり暗示にかかりやすくなる
(⇒特殊訓練:意思訓練公式へ)
・抑制力が弱まり自律性解放の体制ができる(⇒自律性解放へ)
・言葉による論理的思考の代わりにイメージによる視覚的思考がを行いやすくなる